• お店のこと
  • 2020.12.02

当店のカシミアは世界の果てで手織りされています。

こんにちわ、店舗の改装で寝不足の店主です。

 

先日お客様に当店の扱うカシミアストールの件でご質問をいただきましたので、現地の工場で撮った動画をまじえつつ商品解説など書いてみようと思います。

紅茶とは全く関係ありませんが、高級品とされているカシミアがどんなところで製造されているか、資本主義経済の山の端っこがどんなものなのか知識の足しにしてくださいませ。

 

まず、カシミアとは
カシミールや近隣の山に住む高山のヤギの毛を使った織物の事を指しています。正確にはカシミールで採れた物のみを指すべきですが現実には区分はあいまいです。

次に、良く聞くパシュミナとは
カシミアのネパール語(現地製造者いわく)です。これらに違いはなく、どちらも同じものであるとの事でした。ネパールに住む老人はパシュミナの事を英語でカシミアと呼ぶこともあるし、若いネパール人は自国のアイデンティティとしてこれはパシュミナだ、という事もあるとのことでした。

よくカシミアはカシミール山羊の首の部分の柔らかいところの毛のみを使うと言われますが
現実にはそんなことはなく、全身の毛を使った方がたくさん作れるから全部使うのだそうです。

そして首の部分のやわらかい毛だけを使ったものは、薄く軽く柔らかく向こうが透けて見えるような織物になり、それらはリングショールと呼ばれる女性ものの指輪すらスルスルと通せる薄くて柔らかいストールとなります。超高級品です。

また、首以外の毛も部分によって硬さが違うので安い物になるほど厚くなっていきますし、それ以外にも安い違う動物の毛を混ぜる業者もあり、ひどい物になると石油繊維が混じっているものもあります。

ウサギの毛が混ざったものを見たことがありますが見た目やさわり心地ではまったくみわけがつかず、違うなと思ったのはウサギの毛の方が触っただけで温かかったことぐらいでした。(カシミアの方は熱くも冷たくもありませんでした)

ちなみに石油繊維が入っているかどうかを見分けるのはとても簡単で、少し指でよってやって毛を取り、それを燃やしてパーマ屋さんの匂いがすれば本物、ビニールの燃える臭いがすれば石油繊維というわけです。(工場や販売店舗などでは手のひらの上で実際に燃やしてみるパフォーマンスはよくあります)

 

どちらにせよ、これらを作っているのはとても貧しい現地の山岳民であることが多く、彼ら彼女らの貴重な現金収入になっておりたくさん仕入れてあげるととても喜んでくれます。うちは直接仕入れ直接販売ですがブランドタグを付けてもう一つ先に卸してやればこれの価値が跳ね上がるのだと教えてあげると、知ってるよと笑っていました。

カシミアの糸を糸巻にまくおばあさん、後ろのわっかはよく見ると自転車のリムを使っている

 

実際の織機と織り風景、とてもエコな人力だがたまに織りミスするものご愛敬。工場にはカシミアの毛が飛んでいるので違う色の糸が間に挟まることもある

 

首に巻いてやると薄くて軽くてやさしく暖かい、心を込めて一枚一枚つくった山羊の毛とまごころから出来たやさしい織物です。どうぞ大事に使ってやってくださいませ。

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