ネパール買い付け無駄話 完熟マンゴーの話
完熟マンゴーを食べたことがあるだろうか? ネパールは果物が安く、そして美味しい 国の南半分はジャングルで色々実っているらしいが良いものは...
こんにちわ、紅茶王子を名乗っている初老の店主です。
(地元のイベント時につけられたもので、自分で名乗っているのではないです念のため)
さて、買い付けのために現地茶園や近辺をうろうろしていて困ったことは色々ありますが、今回は3番目くらいに困った時のお話。
あれは買い付けを始めて2年目くらいだったと思います。色々と仕事を終えて荷物を抱えてさあ帰ろうやれやれ、という出国間際、トリプヴァン国際空港での出来事です。今はややまともになりつつありますが、8年前のネパールの国際空港の検査類はざるどころか高知のべく杯の如くだだもれでした。というか入国時も出国時も基本的にノーチェックで、手に持った飲みかけの水のボトルもそのまま持ち込めました。何もかもがいい加減であったので地球の歩き方などを参考に知識を入れていました初めのころは大変驚いたものです。
そんな国際空港ですがあるとき急に機械類を使ってチェックをし始めたのです。曰く「責任者がかわったので彼らはやった振りをしている」とのことでした。とはいえ、それまでもX線をはじめとする検査機器は揃っていたもののビニールをかぶせた上に分厚い埃までトッピングしていた彼らですから、そもそも使い方が理解できているか怪しいものです。実際ただ通しているだけで画面を見ていないし、適当に選んでカバン開けろと言っているだけで、ホテルで会った方に「なたの如く大きなククリナイフも手持ちカバンの底に入れてたら日本に持ち帰れたよ」と教えてもらったこともあります。(今はきちんとチェックされます、あしからず)
そんな彼らのチェックを煩わしいなと思いつつ帰国しようと空港に着いたある日のこと、荷物チェックで赤いシャツを着た係官にダイ!と言われました(daiは日本語の「お兄さん、おじさん」、つまり声をかけられた)今の僕は英語はまともにしゃべれませんが、当時もまともにしゃべれませんので日本語で応対しつつ話をしていたら、どうもカバンを開けろと言っているようでした。めんどくさいなと思いつつカバンを開けたところ、入っていたサリーなどのお土産やサンプルの紅茶のいくつかをみて赤シャツの係官がこれを持ち出すには税金が10000ルピー(大体1万円)かかるからと言ってきました。
本来税金など必要ないものですし、今なら知り合いに電話をかけるなどして無理やりにでも突っぱねるのですが、当時はよくわかってなかったのでくっそーと思いつつ言われるままに空港事務所に税金を払いに行こうとしたところ、赤シャツが「hey hey wait wait!!」と僕の行くてを遮り、後ろで腕組んでニヤニヤしながらふんぞり返っているひときわ偉そうな迷彩軍服を指さして、「this is my boss . you pay my boss 5000ルピー(大体五千円), no problem!!(俺っちに賄賂よこせば通してやるぜとかそんな意味)」とか言ってくるのです。
まさか国際空港の見通しが良いフロアのど真ん中で隠れもせず悪びれもせず賄賂を要求されるとは、なんじゃこいつ、腹立つ赤シャツ!!、とか思ってにらみつけたその時です。後ろに気配を感じて振り返ると、ライフルを王宮警護兵みたいに縦に持ってこちらを見ている軍人が多数。およそ6人ほどだったと思いますが、ライフルで殴った方が早いくらいの超至近距離で武装した軍人に囲まれていました。空港の、壁も何もない他から丸見えの検査部署で、ライフル持ちの集団が色白で弱そうな半袖シャツにジーパンの武器も持ってない平和ボケしてそうな日本人を、今にも袋叩きにしそうな状況。傍目に見てもおかしいでしょうしありえない出来事ですが、今にして思うとフロアの職員すべてがグルであったのだと思います、空港の税金支払いの係官も含めて最初から。
ちなみにもし無理に突っぱねて怒り散らしていたら、違法なものを持ち出そうとしているとかそういう言いがかりをつけられていた可能性大ですね。今は少し知識があるので切り抜けるときには外にいるネパール人の友達か大使館に電話をします。もみ消しや言いがかりの罪などがありえる国なのでそのあたりに注意です。
知り合いのネパール人が罠にはめられてお薬所持の罪で逮捕された事件もありました(周りの友達の尽力で真犯人が捕まったそうです、情けは人の為ならずですね)
さて、どうしようもない詰みなので睨みつけながら5000ルピー払うことにした僕ですが、財布を出そうとしたらシャツ野郎に「wait wait!!」とか言われました。どうもこんな目立つところで賄賂受け取ったらまずいだろということらしいです、何をいまさらこの赤シャツめ。そして、むかつくシャツに連れられてトイレに来たわけですが後ろを見たらライフル持ちが一人ついてきていました、さすがに持ち場以外でライフルを振りかざしているとまずいらしく”ライフルマン→素手マン”になっております。その彼が、僕が財布を出していると俺にも1ドルよこせとか言ってきました。なんというスネ夫イズム!!お前さっきも一番離れたとこにいたじゃん。さすがに腹立つので「ねーよ、ふざけんなボケカス」と言っているとオウムの如く1ドルよこせと連呼して来たのでこちらもボケカスしか言えないオウムになって応戦です。
よだれを飛ばしながらがなり散らすオウムが二匹になったところで横で困っていた赤シャツが間に入ってきました。「オーケーオーケービークワイエット」だそうで。ほかの観光客もいるから騒ぎになるとまずいんでしょうね。そして5000ルピー払って事なきを得たわけです。まだ空港入り口から10歩くらいのとこに戻ってきただけですけども。
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ネパールで仕事してると一事が万事こんな感じで考えられないトラブルが頻発します。めげてると仕事にならないですし、嘗められるとずっとタカってくる奴らがよくいるので降りかかる火の粉は全力で殴り返すせいで自分で油を注ぐこともままありますが、まー今のところ元気にやっております。
閑話休題、紅茶の買い付けを始めて色々な人に会う機会が増えましたが買い付けに実際に行く人は少ないです。買い付けに行っているという嘘をつく人にはたまに会いますが、それはまた別の話。
最初1年目くらいは首をかしげていましたが、こういった経験を重ねてきて理由がわかりました。リスクが高すぎて割に合わないのです。世界の未知なる地域に旅立てば良いものや珍しいものが手に入る可能性はあります、大航海時代の貿易商が世界の海に旅立ったのもそのためだと思います、わくわくします。ただ!!ちょっとしくじったら簡単に死ぬという・・・。どうりで買い付けに行く人が少ないわけです。誰だって死にたくないですからね笑
予備知識なしに買い付けに出て行った僕はその辺のことを知らなかったわけですが冷静に考えると滅茶苦茶なことをいっぱいしています、いくら美味しい紅茶が欲しいからと言っても世界の果てで現地人に怒鳴りつけたりするのは無茶だった気がします。ゴミ同然の茶葉でボッたくってきたので腹がったのです。「こんな紅茶に2000円も払えるかくそったれ」とか言ってごめんなさい。
世界に飛び立つと危険がいっぱいなので気を付けましょう。
そんな危険を冒して買い付けてきた「世界の果ての紅茶」がコチラ、一度お試しあれ
より多くの人に紅茶が愛されますように